『推し、燃ゆ』:アイドルを「推す」生き方って?「推し」のリアルな姿とは!!?
「推し」へ捧げる熱情が、人生を変える!芥川賞受賞作「推し、燃ゆ」は、アイドルに人生を見出す女子高生の切実な想いを描く。周りの視線を気にせず、熱狂的に「推す」ことの意味とは?
💡 「推し」という言葉を現代社会における意味合いと共に解説します。
💡 芥川賞を受賞した小説『推し、燃ゆ』のあらすじを紹介します。
💡 『推し、燃ゆ』の作者である宇佐見りんさんのインタビューを紹介します。
では、早速ですが最初の章に移りましょう。
『推し、燃ゆ』:アイドルを「推す」生き方
「推し、燃ゆ」は何が話題?
アイドル熱狂を描いた作品
「推し」という言葉の広がりには、現代社会の多様性と個人の価値観を反映していると感じます。
公開日:2021/03/03

✅ 「推し」という言葉は、かつてはアイドルグループの中で最も応援しているメンバーを指す「推しメン」の略語として使われていましたが、近年では「最も評価したい、推薦したい、気に入っている人や物」を指す言葉として広がりを見せています。
✅ 宇佐見りんの小説「推し、燃ゆ」は、21歳という若さで芥川賞を受賞した作品であり、その内容や作者の年齢、そして「推し」という現代社会における流行語との関連性から話題を集めています。
✅ 「推し」という言葉が示すように、現代社会では個人の好みや価値観が多様化しており、従来のアイドルやスター、ファンといった言葉では表現しきれない、より主体的な支持や愛着を表す言葉として「推し」が使われています。
さらに読む ⇒ニュースサイト出典/画像元: https://mainichi.jp/premier/business/articles/20210226/biz/00m/020/003000c「推し」という行為に、自身の経験を重ねながら、深い共感と考察を語っていると感じました。
2021年1月、第164回芥川賞を受賞した宇佐見りんの小説『推し、燃ゆ』は、アイドルを「推す」ことを生きがいにする女子高生を描いた作品。
21歳の大学2年生作家による作品は、純文学としては異例の売り上げを記録し話題を集めている。
宇佐見さんはインタビューで、周りの冷めた視線に触れつつ、「推す」行為はただの流行りではなく、もっと切実なものだと語り、自身の経験を踏まえ、ファン心理をリアルに描写したと説明している。
へぇー、ホンマに? めっちゃ興味あるわ! あたしもアイドル推してるし!
芥川賞選考:多様な作品群と評価
宇佐見りんの作品はどんな点で評価された?
描写力と生の形
芥川賞の選考は、多様な作品群の中から、時代を反映した作品を選ぶという難しい作業ですね。
公開日:2021/01/18

✅ 第164回芥川賞の候補作品5作品のうち、「コンジュジ」「小隊」「母影」「推し、燃ゆ」「旅する練習」について、シナリオライターの五百蔵容さんとP+D MAGAZINE編集部のトヨキさんの対談形式でレビューが行われています。
✅ 五百蔵さんは「コンジュジ」の文体を「コミック的」と評し、テーマと文体が合致してぶれずに統御されている点を評価しています。一方で、トヨキさんは主人公のせれなのメンタリティや消費行動にリアリティを感じられなかったと述べています。
✅ 五百蔵さんは「コンジュジ」の70年代の洋楽バンドに関するエピソードのリアルさに驚愕しており、木崎みつ子さんが当時流行していた洋楽バンドのファン文化を詳細に描写している点に注目しています。トヨキさんは、当時流行していた洋楽バンドのファン文化に詳しくないため、作品に没入することが難しかったようです。
さらに読む ⇒小学館の小説ポータルサイト 小説丸出典/画像元: https://shosetsu-maru.com/recommended/akutagawa-164選考委員の意見は、作品に対する理解を深める上で非常に参考になります。
宇佐見りんは、選考委員から「必要にして充分な描写の力」や「定型的ながらもひとりの人間の生の形を描ききった」と評価され、受賞に異存はなかったとされている。
選考委員は、宇佐見りんの作品に加え、尾崎世界観の「母影」、木崎みつ子の「コンジュジ」、砂川文次の「小隊」、乗代雄介の「旅する練習」についても評価している。
砂川文次の作品については、「無謀なことに挑んでいる」としながらも、兵士の心理描写に驚きが少なかったと指摘されている。
乗代雄介の作品は、コロナ禍に関係する描写部分が他の部分から浮き上がる不思議な読みごこちがあり、「いくつかの仕掛けがもたらした成果」と評価されている。
おー、芥川賞か。知らんかったけど、なんか凄そうじゃん。
あかりの生きづらさと「推し」の力
「推す」行為は、あかりにとってどんな意味を持つ?
生きがいで、背骨
「推し」の存在は、人生を豊かにする一方で、失うことの悲しみも大きいと感じます。

✅ 「推し、燃ゆ」は、芥川賞を受賞した宇佐見りんの小説で、主人公のあかりが推しのアイドルの炎上と引退によって生きがいを失う物語を描いています。
✅ 宇佐見りんは、推しの存在が恋愛感情とは限らず、生活の中心であり、人生の背骨となるような存在であると語っています。
✅ 作者は、推す行為に対する世間の冷めた視線や、推しを失うという経験を通して、現代社会における「推し」の存在意義について考えさせられる作品を目指したと述べています。
さらに読む ⇒WEBザテレビジョン出典/画像元: https://thetv.jp/news/detail/1026009/宇佐見りんさんの言葉には、現代社会における「推し」の重要性を再認識させられます。
作品に登場する主人公・あかりは、学校にも家族にも居場所がなく、アイドルを「推す」行為が唯一の生きがいです。
宇佐見さんは、あかりの生きづらさを丁寧に描き、推しを「背骨」と表現することで、推しを持つことの重要性を訴えています。
「推す」行為は、一方的な関係であり、周りの人からは理解されないこともあるかもしれません。
しかし、宇佐見さんは、「推しを推すことが幸せ」であり、「その生き方もあっていい」と主張します。
インタビューを通して、宇佐見さんは、大学生らしい無邪気な一面と、作品に対する真摯な姿勢を見せ、今後の活躍が期待されます。
おばあちゃん、推しってなによ? 昔はそんな言葉なかったでしょう?笑
ファンと推しの関係:一方通行の愛情と心の支え
「推し、燃ゆ」のテーマは?
ファンと推しの関係性
「推し」への愛着は、恋愛感情とは異なる、ファン独自の愛情の形と言えるでしょう。
公開日:2020/11/14

✅ 「推す」という行為とその文化が世の中で十分に理解されていないと感じたことが、著者の執筆の動機のひとつである。特に、推しへの愛情が恋愛の下位互換や趣味の一環として捉えられがちで、その深みや重要性が軽視されている現状に対する疑問を感じている。
✅ 「推しへの愛情は一方通行であるからいい」という考え方は、著者が自身の推しの応援方法や、主人公「あかり」の推しへの気持ちを通して提示している。それは、推しは遠い存在であり、愛情が直接的に返ってこない一方で、否定や見限られることもなく、常に存在してくれるという安心感があるからである。
✅ 「推す」という行為は、主人公「あかり」にとって、何事もうまくいかない現実の中で、唯一全身全霊で打ち込める場所であり、自分の存在を肯定してくれる場所となっている。これは、作者自身の創作活動への向き合い方とも通じている。著者は、ファン文化や推しへの熱狂的な愛情という、一見自分とは異なる世界を深く理解することで、作品のリアリティを高めている。
さらに読む ⇒好書好日|Good Life With Books出典/画像元: https://book.asahi.com/article/13923624「推し」の存在は、ファンにとって心の支えとなり、人生に希望を与えてくれるものだと感じます。
『推し、燃ゆ』は、ファンと推しの関係性に焦点を当てた作品です。
作者自身も俳優を推していることから、作品のテーマは自身の経験に基づいていることがわかります。
「推す」ことは、恋愛とは異なる、ファンが自分の意志で注ぐ愛情であると宇佐見さんは語ります。
推しへの愛情は一方通行であり、返ってこないからこそ、自信がない自分を受け入れ、勇気づけられる側面があるという点も強調されています。
あかりは、推しの存在が、唯一無二の心の支えとなっています。
あかりは、推しのために全力を注ぎ、その熱意を通して、自分自身の生き方を見つけるヒントを得ます。
宇佐見さんは、作品を書くために、実際にファンのブログやSNSを調べた経験も語っています。
ファンの間で共有される独自の文化や用語、熱心な活動の様子、そして推しがファンに与える影響などを、自身の観察を通してリアルに描写しています。
わかるー! あたしも推しにはいつも支えられてるもん!
あかりとまさき:炎上と「推し」への揺るぎない思い
「推し、燃ゆ」の主人公は、誰のファンでどんな気持ちを抱いていますか?
まざま座の上野真幸に憧れ、支えられています
「推し、燃ゆ」は、現代社会におけるファン文化と「推し」の存在意義を描いた作品と言えるでしょう。

✅ 「推し、燃ゆ」は、アイドル上野真幸を推す主人公あかりが、推しの炎上事件に巻き込まれる物語です。
✅ あかりは、推しに夢中になることでしか生きがいを感じられない、現代社会に適応しにくい女の子として描かれており、その生きづらさや切実さは多くの読者に共感を得ています。
✅ 作者の宇佐見りんは、本作で第164回芥川賞を受賞しており、2021年本屋大賞にもノミネートされています。
さらに読む ⇒Web河出出典/画像元: https://web.kawade.co.jp/bungei/3741/あかりの生きづらさ、まさきへの揺るぎない思い、そして「推し」という存在の重要性が伝わってくる作品です。
「推し、燃ゆ」は、高校2年生の山下あかりが、アイドルグループ「まざま座」のメンバー、上野真幸(まさき)に惹かれ、SNSを通じて「推しを推す」ことで人生を見出す物語です。
あかりは、家庭環境や学校生活に悩み、生きづらさを感じています。
そんな中、まさきとの再会をきっかけに、SNSで自分の居場所を見つけ、「推し」を通して心の支えを得ていきます。
物語は、まさきの炎上騒動から始まります。
あかりは、SNSを通して広がる騒動に心を痛めつつ、友達の成美と「推しを推す」喜びを共有します。
あかりは、子供の頃からまさき(ピーターパン役)に憧れており、彼の存在は、あかりにとって希望であり、生き続けるための支えとなっています。
まさきは、あかりにとって、現実世界の苦しみから逃れる場所であり、心の拠り所となっています。
しかし、まさきはアイドルとして、ファンと距離を置かざるを得ない状況に置かれています。
あかりは、まさきのファンとして、彼の活動を見守り、応援し続けることを決意します。
まさきって誰よ? あたしが知らんアイドルなら、興味ないわー!
今回の記事では、現代社会における「推し」の文化や、芥川賞を受賞した小説『推し、燃ゆ』について解説しました。
💡 「推し」は現代社会における新たな言葉として、個人の価値観や多様性を象徴しています。
💡 『推し、燃ゆ』は、ファンとアイドルの関係性、そして「推し」という存在の重要性を描いた作品です。
💡 宇佐見りんは、自身の経験を基に、現代社会における「推し」の役割を浮き彫りにしました。