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『静かな生活』は、大江健三郎原作の映画?伊丹十三監督の挑戦とは!?

『静かな生活』は、大江健三郎原作の映画?伊丹十三監督の挑戦とは!?
📘 この記事で分かる事!

💡 知的障害を持つ息子イーヨーとその家族の葛藤を描いた作品

💡 伊丹十三監督が、大江健三郎の小説を映画化

💡 原作に対する批判や解釈、映画の背景について解説

それでは、第一章から見ていきましょう。

静かな生活:家族の日常と葛藤

この作品は、障害を持つ兄と妹の深い愛情と、家族の絆を描いた感動作です。

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公開日:2023/12/31

静かな生活 : 作品情報

✅ 「静かな生活」は、両親がオーストラリアに旅立った後、障害を持つ兄イーヨーと妹マーちゃんの波乱に満ちた日常を描いた作品です。

✅ イーヨーの水泳レッスンを通して、マーちゃんは新井君と出会いますが、彼の暗い過去を知り、危険な状況に陥ります。

✅ 最終的にイーヨーがマーちゃんを守り、家族の絆とイーヨーの成長を描いた感動作となっています。

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静かな日常の中に、深いドラマが隠されているのが感じられますね。

1995年に公開された伊丹十三監督の映画『静かな生活』は、大江健三郎の同名小説を原作とする作品です。物語は、絵本作家を目指すマーちゃん、知的障害を持つ兄のイーヨー、大学受験を控えた弟のオーちゃん、そしてオーストラリアに旅立った小説家のパパとママという5人家族を中心に展開されます。両親がオーストラリアへ旅立つ間、マーちゃんはイーヨーの面倒を見ることになりますが、痴漢事件が発生し、イーヨーが疑われてしまいます。イーヨーは暴れたり叫んだりせず、穏やかな青年ですが、健常者とは異なる彼の行動は周囲の誤解を生み、家族にも葛藤が生まれます。

えー、なんか、めっちゃ切ない話やんな。

うん、確かに。でも、家族って大切やね。

あー、懐かしいわ。うちも、昔はこんなんだったわよ。

監督の挑戦と作品の評価

伊丹監督は、この作品を通して何を伝えたかったのでしょうか?

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✅ 映画「静かな生活」は、大江健三郎の同名作品を原作とした作品で、知的障害を持つ息子イーヨーとその家族の葛藤を描いています。

✅ イーヨーは鳥の声のレコードを聴きながら育ち、6歳で初めて言葉を発し、音楽の才能を開花させます。

✅ イーヨーの妹マーちゃんは、兄を支えながら、自身の未来について考え、父親の言葉「人は人の道具ではない」に影響を受けています。

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確かに、消化不良感はありますね。でも、伊丹監督らしい作品だと思います。

伊丹監督は、大江健三郎との深い関係性から、知的障害者というテーマを遠慮なく描き出しています。しかし、原作と監督の才能が融合したにも関わらず、作品全体としては消化不良感が残る印象です。渡部篤郎をはじめ、常連メンバー以外の若手俳優たちの演技は光っていましたが、イーヨーの静かな生活と、彼の抱える問題に対する深掘りが不足しているように感じられます。映画は、家族の温かさと、知的障害を持つ人々の心の奥底に潜む複雑さを描いている一方で、明確なメッセージや解決策を示すことなく、観る人にモヤモヤ感を残します。伊丹監督の才能はエンタメ路線以外でも発揮されるべきですが、本作は期待されたほどの深みを感じられず、惜しい作品と言えるでしょう。

なんか、モヤモヤするわー。

そうやねー。でも、伊丹監督の作品って、そういうとこあるよね。

あんた、よくわかってないわね。伊丹監督の作品は、そういうもんなのよ。

原作へのオマージュと解釈

では、原作との関係性について詳しく見ていきましょう。

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✅ 大江健三郎の小説「静かな生活」は、作家の父が精神の危機を感じて外国滞在を決意し、妻が同行する中、残された3人の兄弟妹の日常を描いています。

✅ 特に、脳に障害を持った長男のイーヨーが「ある性的事件」に巻き込まれる場面が描かれ、女子大生の妹の機転でピンチを脱出します。

✅ この小説は、「家としての日記」という視点から、家族の絆と心の平穏について、静謐なユーモアを交えながら深く問いかけています。

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原作とは異なる解釈が盛り込まれているんですね。

伊丹十三監督の『静かな生活』は、大江健三郎の小説を原作とするが、映画は原作に忠実ではなく、むしろ大江の作品群からエッセンスを抽出したような作品となっています。映画は、オーストラリアに長期出張中の大江の不在時に、留守をまかされた3人の子供たちの生活を描いています。大江は映画の中で戯画化され、彼の小説における実在の人物への影響や批判的な視点が強調されています。特に、大江の傷病のある長男イーヨーと、その妹マアちゃんの関係は、兄妹というより姉弟のように表現され、マアちゃんがイーヨーを心配する姿が見どころとなっています。

えー、原作と映画って、全然違うん?

まぁ、映画は映画やけん、原作と違うのは当たり前っちゃない?

あんた、若いのに、よくそんなことわかるわね。

大江健三郎への批判と映画の解釈

この映画は、大江健三郎への批判とも捉えられます。

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静かな生活:伊丹十三

✅ 「静かな生活」は、大江健三郎の同名小説を映画化した作品だが、原作に忠実ではなく、大江作品のエッセンスを詰め込んだような作りになっている。映画は、オーストラリアに長期出張中の大江の留守中に、子供たちが助け合って暮らすさまを描いている。

✅ 映画では大江は戯画化され、特に傷害のある長男(イーヨー)に対する世間の差別や、小説の題材にした人物とのトラブルなどが強調される。大江の娘(マアちゃん)は、イーヨーの世話をする一方で、暗い過去を持つ青年コーチから強姦されそうになるという場面がある。これは、大江が小説で実在の人物を題材にしたことで、怨みを買ったことを暗示している。

✅ 伊丹十三は、大江の妻の兄であり、映画には大江に対する批判的な視点をうかがわせる場面がみられる。大江の小説では伊丹は好意的に描かれていないことから、伊丹は逆に大江を突き放した目で見ているとも考えられる。この映画は、大江がノーベル賞を受賞した直後に公開されたが、興行的には失敗した。これは、国民の注目を集めていた大江を戯画化し、否定的に描いたことが原因と考えられる。

さらに読む ⇒続 壺 齋 閑 話続 壺 齋 閑 話出典/画像元: https://blog2.hix05.com/2019/04/post-4384.html

大江作品への解釈は様々ですね。

映画は、大江の小説における人物への影響に関連して、若いコーチがマアちゃんに近づき、最終的に強姦しようとする展開を見せるが、これは大江の小説における人物描写に対する批判と解釈できます。映画は、大江のノーベル賞受賞直後に公開されたが、興行的には失敗しました。これは、国民的英雄となっている大江を戯画化し、否定的に描いたことが原因と考えられます。また、伊丹は実生活で、大江の妻の兄であり、映画の中で大江に対するシニカルな視点が見られるのは興味深い点です。映画は、大江の友人をモデルにした作曲家、武満徹を登場させるが、実際の人物とは異なるイメージで描かれています。

えー、なんか、複雑やわー。

うーん、確かに。でも、映画って、そういうもんでしょ?

あんた、若いのに、よくそんなことわかるわね。

「静かな生活」は、知的障害を持つ兄と妹の絆を描いた感動作であり、伊丹十三監督の挑戦と、大江健三郎への批判と解釈できる作品です。

🚩 結論!

💡 知的障害を持つ息子イーヨーとその家族の葛藤を描いた映画

💡 大江健三郎の小説を原作とした映画だが、原作とは異なる解釈も提示されている

💡 伊丹十三監督の挑戦と、大江作品に対する批判や解釈が込められている