老いゆく夫婦の記憶は曖昧?『よその島』と『ファーザー』が描く記憶と真実老いゆく夫婦の記憶と真実とは!!?
💡 老いゆく夫婦の記憶の曖昧さを描いたミステリー小説
💡 認知症の主人公の視点で老いの喪失と親子の絆を描いた映画
💡 高齢者心理学の立場から記憶のメカニズムを解説した書籍
それでは、最初の作品『よその島』からご紹介しましょう。
老いゆく夫婦と記憶の曖昧
老いゆく夫婦の記憶と、その記憶の真実を探る展開が印象的です。
✅ 「よその島」は、老夫婦と作家が共同生活をする島を舞台に、記憶の曖昧さと真実の追究を描いたミステリー仕立ての物語。
✅ 物語は、老夫婦の記憶の食い違いから始まり、過去の出来事や夫婦関係の真相を探っていく。特に、妻の蕗子が抱える子供への執着と、現実と妄想の境界線が曖昧になる老年の記憶描写が印象的。
✅ 作者は、子供を産めなかった蕗子を子供のような存在として描き、物語全体に子供に対する強迫観念を感じさせる。記憶と妄想が混ざり合い、老齢化が引き起こす心の闇を浮き彫りにする作品。
さらに読む ⇒中央公論.jp出典/画像元: https://chuokoron.jp/culture/114397.html記憶の曖昧さと、夫婦関係の真相が複雑に絡み合い、読者を深い世界へと引き込みます。
『よその島』は、老いをテーマにしたミステリー小説です。
七十代の夫婦と男が島での共同生活を始めますが、夫は妻を殺人者と認識しています。
過去に何があったのか、記憶は曖昧で、事実と妄想が混ざり合い、読者も翻弄されます。
特に、妻・蕗子は子供のような存在として描かれ、子供への強い執着を感じさせます。
え、まじ?めっちゃ怖いんやけど!
揺らぐ記憶と罪の意識
老い、そして記憶というテーマは、私たちにとっても身近なものです。
✅ アンソニー・ホプキンス主演の「ファーザー」は、認知症の主人公アンソニーの視点で、老いによる喪失と親子の揺れる絆をスリリングに描いた作品で、第78回ゴールデングローブ賞で4部門にノミネートされました。
✅ 本作は、世界30カ国以上で上演された傑作舞台を映画化したもので、ホプキンスとオリビア・コールマンの繊細な演技が評価され、アカデミー賞での受賞が期待されています。
✅ 「ファーザー」は、フランス人劇作家フロリアン・ゼレールが長編映画初監督を務め、5月14日から全国公開されます。
さらに読む ⇒映画.com - 映画のことなら映画.com出典/画像元: https://eiga.com/news/20210212/10/認知症という現実的な問題を、繊細な演技で表現しているのが素晴らしいです。
『よその島』は、老いゆく夫婦と男の島での共同生活を描いたミステリー小説です。
夫を殺人者と認識する妻、曖昧で変化する記憶、そして夫婦の過去と罪の意識が物語を複雑に彩ります。
記憶の不可解さと、それが生み出す妄想と現実の境界線が、読者を翻弄します。
うわ、めっちゃ気になる!見に行きたいわー!
子供への執着と記憶の劇場
記憶の曖昧さと、人生における「ミスすること」について深く考えさせられる作品ですね。
✅ この記事は、伊藤比呂美さんとブレイディみかこさんの対談をまとめたものです。2人は「波」誌で同時期に連載を行っており、それぞれ『道行きや』と『THIS IS JAPAN―英国保育士が見た日本―』を出版しました。
✅ 対談では、ブレイディさんが『道行きや』を読んだ感想を語り、特に「ミスする」という言葉に注目しました。ブレイディさんは、英語の「miss」は日本語では完全に訳し切れないニュアンスがあり、比呂美さんがカタカナで「ミスする」と表記したことに深い意味を感じたと話しました。
✅ ブレイディさんは、『道行きや』は「何かをミスする」ことについて書かれた本だと解釈し、人生においては様々なものを失うこと、そしてその不在を認識し続けることが生きることだと結論付けました。伊藤さんもブレイディさんの解釈に共感し、自身も気づかなかった作品のテーマを再認識したことを語りました。
さらに読む ⇒新潮社出典/画像元: https://www.shinchosha.co.jp/book/352681/2人の対談を通して、記憶と人生の深い関係性について改めて考えさせられました。
特に、子供を産めなかった妻の「子供」への執着と、それが物語全体に漂う不気味さが印象的です。
青い乳母車という象徴的なモチーフを通して、夫婦の過去、そして「無の存在」が「記憶の劇場」を生み出す源泉となります。
へー、なんか深い話やなぁ。
過去の影と老いの不安定
高齢者の読書サークルという独特な設定が魅力的です。
✅ 「坂の途中で本を読む会」は、平均年齢85歳の超高齢読書サークルで、元アナウンサーの会長、小柄なシルバニア、ふくよかなマンマ、蝶ネクタイ、夫婦で参加するまちゃえさんとシンちゃんなど個性的なメンバーが集まる。
✅ 喫茶店の雇われ店長となった主人公・安田は、読書会に魅了されながらも、高齢者ならではの独特な会話や行動に戸惑いながらも、温かく接していく。
✅ 会では、佐藤さとるの「だれも知らない小さな国」を題材に、会員たちは年齢や人生経験を踏まえた意見交換や思い出話に花を咲かせ、世代間交流が活発に行われる。
さらに読む ⇒本の話 ~読者と作家を結ぶリボンのようなウェブメディア~出典/画像元: https://books.bunshun.jp/articles/-/9248高齢者ならではの視点と経験が、世代間交流を生み出す様子が温かく描かれています。
過去の出来事や、夫婦の子供を産めなかったことなど、様々な要素が絡み合い、記憶の曖昧さと老いの不安定さを浮き彫りにします。
子供に対する強い執着と、記憶の曖昧さが生み出す不気味な世界観が特徴的な作品です。
老いらくのおっちゃんおばちゃん、読書会とかええやん!
老い、記憶、そして人生
高齢期の記憶力低下だけでなく、向上する機能について詳しく解説されています。
✅ 本書は高齢者心理学の立場から記憶のメカニズムをわかりやすく解説しており、加齢による記憶力の変化だけでなく、ポジティブな変化についても触れています。
✅ 著者は年齢差別(エイジズム)に対して、高齢者に関するネガティブな情報ばかりが流されることで、無意識に老いに対するネガティブなイメージが形成されてしまうことを指摘し、加齢によって向上する機能もあることを強調しています。
✅ 著者は今後の研究テーマとして、加齢によって低下しない、あるいは向上する機能に注目し、感情や意思決定への影響についても研究を進めていくことを表明しており、高齢期の自律的な生活や生活の質の維持、幸福な高齢期の実現を目指しています。
さらに読む ⇒中央公論新社出典/画像元: https://www.chuko.co.jp/shinsho/portal/112287.html高齢者に対するネガティブなイメージを払拭し、高齢者自身の幸福な生活の実現を目指した内容です。
現代の老い、記憶、そして人生の不可解さを、エンターテイメント小説として巧みに描き出す作品です。
おばあちゃんって賢いんやなぁ。
老い、記憶、そして人生について深く考えさせられる作品の数々をご紹介しました。
💡 老いゆく夫婦の記憶と真実を描いたミステリー小説『よその島』
💡 認知症の主人公を描いた映画『ファーザー』
💡 高齢者心理学の立場から記憶のメカニズムを解説した書籍