超絶主義の宣言者エマーソンとアメリカのルネッサンスについて

1830年代から40年代にかけて、アメリカで思想的頂点に達した超絶主義は、人間の精神が神であるとし、直観能力と想像力を重視し、無限者神との合一を求める思想です。

この思想は、理性を排除し、経験や悟性に先だつ直観能力を信頼することを特徴としています。

エマーソンの評論は後の思想家、著述家、詩人に大きな影響を与えた。

彼の中心教義は「個人の無限性」であると語られている。

また、彼は超絶主義者のヘンリー・デイヴィッド・ソローの師であり友でもあった。

エマーソンは1803年にマサチューセッツ州ボストンで生まれ、幼少期から家族や教育についての経験を積んだ。

彼の教育はボストン・ラテン・スクールとハーバード大学で受けた。

エマーソンは詩人としても知られており、ハーバード大学卒業式で自作の詩を発表した。

超絶主義者たちは、理性の枠を取り払い、直観能力や想像力に信頼を置き、無限者神との合一を求めていた。

彼らは人間を限りないものに結び付け、明るい未来像や世界像を描いていた。

しかし、この考え方に疑問を抱く者もおり、彼らは未知なるものに脅えを感じていた。

ホーソーンやメルヴィルなどの作家もその一部である。

しかし、超絶主義者たちは目に見えないものを感じ取る能力を持っていた。

アメリカの実情に支えられた超絶主義は、宗教や文学に新しい息吹を与えた。

その宣言書とされる作品は、ラルフ・ウォルド・エマーソンの『自然論』である。

エマーソンは、自然と人間との間にある「対応関係」や「類似」をとらえることで、自然の中に見られるすべての事実は、ある精神的な事実にほかならないとした。

超絶主義は、成長するアメリカの土壌に根ざし、アメリカの姿を反映しながら、宗教や文学などに新しい息吹を与えた。

ラルフ・ウォルド・エマーソンの処女作『自然論』は、超絶主義の宣言書といわれている。

エマーソンは、自然と人間との間にある「対応関係」や「類似」をとらえることで、自然の中に見られるすべての事実は、ある精神的な事実にほかならないとした。

19世紀初頭、アメリカでは、ニュー・イングランドを中心として、ユニテリアニズム（Unitarianism）という神学思想が広まっていた。

ユニテリアニズムは、父・子・精霊の三位が一体であるとするカルヴィニズムに対し、父なる神を唯一の実在神とみなす一位説を唱えるものである。

神の義、裁きの前におかれた人間の完全依存、腐敗、堕落に対し、神の愛、赦し、人間の生まれながらに有する善性を説いたもので、イエス・キリストもすぐれた人格を備えた人間として扱った。

さらに、聖書にみられるさまざまな神の奇跡も、理性の光に照らして解釈するべきであると強調した。

最も特徴的なのは、神にではなく人間にこそ自己救済の可能性があることや、神中心の信仰ではなく人間中心の信仰を唱えたことである。