横溝正史のトリックに迫る――金田一耕助シリーズの謎を解く

横溝正史氏が生み出した名探偵「金田一耕助シリーズ」は、昭和を代表するミステリー作家として数多くの名作を生み出しました。

その中でも戦後間もなく誕生した「金田一耕助シリーズ」は、増悪、愛欲、執念、怨念、因縁、闇深い過去、閉鎖的社会などを描いた作品で多くの読者を魅了しています。

その中でも『本陣殺人事件』は、金田一耕助が誕生した記念すべき作品であり、雪景色が美しい日本家屋での密室殺人事件という本格ミステリーでありながら、トリックではなく犯人とその動機を巧妙にミスリードする面白さがあります。

また、独特の雰囲気が作られていることも本書の魅力です。

横溝正史の名探偵・金田一耕助シリーズは、戦後の世相や閉鎖的な島で展開されるおぞましい連続殺人事件を描いています。

その中で、ストーリー展開、設定、巧妙なトリック、犯人の意外な動機、結末など、ミステリーとしての完成度は抜群です。

特に「獄門島」は、プロット、世界観、トリック、人間描写、金田一の苦悩と思考など、あらゆる面で1歩リードした作品として個人的に最高傑作と考えられます。

推理小説における叙述トリックは、事件の当事者ではなく、他の第三者が事件を記述する形式で読者をミスリードする手法のこと。

推理小説の中で顔の無い死体や密室の殺人が登場すると、読者は犯人と被害者が入れ替わっているのではないか、あるいは特定のトリックが使われているのではないかと考えるようになる。

横溝正史はこのようなトリックについて、読者に問いかけている。

横溝正史の推理小説では、「顔の無い死体」と「一人二役」という２つのトリックがよく使用され、戦争という出来事と絡められています。

具体的には、戦地から帰還した人物Aが顔に大けがをしているため、顔全体に包帯を巻いているという状況が描かれています。